腰のゆがみ
一般的に腰痛は、医師の診察やエックス線などの画像検査で原因を特定できる特異的腰痛と、
原因を厳密に特定できない非特異的腰痛の2つに分類できます。
特異的腰痛には、脊柱管狭窄症、腰椎椎間板ヘルニア、腰椎すべり症、椎骨(背骨を構成する
小さい骨)の圧迫骨折、ガンの脊椎転移(脊椎は背骨)、感染性脊椎症、大動脈瘤、尿路結石など
よる腰痛をさします。
非特異的腰痛では、腰痛症(広い意味での腰痛全般)やギックリ腰、変形性腰椎症(年を重ねる
につれて腰の骨や軟骨などに変化が生じて腰痛が起こる病気)などと診断されることがあります。
問題点はガンや感染症などの病気である場合を除けば、どの腰痛も慢性化しやすいことです。
腰は腰椎(背骨の腰の部分)と骨盤(腸や子宮などの臓器を包み込むように形作られている骨)
から構成されています。
このうち腰椎は5個の椎骨が積み重なってできています。前後左右に曲がったり、ねじれたり
できるようになっています。私たちが上半身を自在に動かせるのは、腰椎の柔軟な構造のおかげです。
骨盤は、いくつかの骨から構成され、前側は恥骨どうしが結合し、後ろは仙腸関節でつながって
います。具体的には、腰椎とつながっている仙骨を中心に、腸骨・坐骨・恥骨などが左右一対に
なっており、それぞれが靱帯で強固に連結されています。
正常な腰椎と骨盤は、全体が左右対称になっており、恥骨がピッタリと結合して逆三角形をして
います。横から見ると腰椎が前方に反っており、骨盤は少しだけ前傾しています。こうした腰椎
と骨盤の正常な形は、まわりを覆っている筋肉の力としなやかさが十分になければ維持できません。
このように腰は数多くの骨がつながって構成されている部位であり、そうした骨と骨をつなぐ
架け橋の役割を果たしているのが、上半身つながっている多裂筋や脊柱起立筋、下半身とつながって
いる大殿筋や内転筋などの筋肉です。これらが巧みに連携しながら、腰椎や骨盤を支えています。
ひと口に腰といっても、実はこうした複雑で立体的な構造をしています。そして、複雑・立体で
あるがゆえに、形がゆがみやすいという難点もあります。
腰の骨がゆがむと、骨と骨との間に小さなズレが生じます。すると、腰の骨を支える筋肉や靱帯
などに無理な力がかかり、引っ張られたり緊張したりして痛みが起こるのです。また、腰の骨の周囲
の神経が圧迫され、しびれやマヒが現れるようにもなります。
これとは逆に、筋肉が腰の骨をゆがませることもあります。例えば、腰周囲の筋肉に負担がかかる
動作などをくり返すと、しだいに筋肉が異常に収縮したり緊張したりするようになり、腰の骨を支える
力がアンバランスになって、腰の骨がゆがんでしまうのです。そして、ゆがんだことで、さらに筋肉
に負担がかかり、痛みが悪化するという悪循環に陥ります。
骨と筋肉が本来あるはずの状態ではなくなってしまうことで、腰全体のバランスが崩れ、腰痛を
招いているのです。